ごきげんよう。天竺奇譚です。
映画『パドマーワト 女神の誕生』ついに日本公開!おめでとうございます!!!!

パドマーワト

いやあ、ほんと嬉しいです!!!!
昨年2018年に、英語字幕付きで観たときから虜になった映画が、
ついに日本でも公開!もちろん日本語字幕つき!というのが
もう嬉しくて嬉しくて幸せでたまらないのですけども。
歌も踊りも大好きで、サントラを何度も聞いて歌詞も耳コピして覚たくらいでして。
ツイッターとかブログとか他の記事とかで散々語りつくしてきたのですが、
もう一度まとめようとおもいます。

→パドマーワトの歴史的な背景とかについては
「Masara Press」さんで対談記事になってますので
あわせてお読みください。


→パドマーワトについて過去に萌えを呟いた記事をまとめたよ。
ネタバレ映像たっぷりなので注意。



→パドマーワト公開にあたりいろんな事件がおきました。
インド思想がご専門の東海大学の川尻先生による背景説明。



ただ、本作は、数百年前に書かれた原作ありきの物語なので、
ご紹介するにあたりどうしてもネタバレ、オチバレをせざるを得ませぬ。

ネタバレ読みたくない人は
「ここから下はネタバレです!」って書いておくので!
読みたくない人は読まないでくださいね!!!


★どんな物語か。

超絶美女の王妃をめぐって起こった戦争のお話です。

まあ詳しくは公式サイトとかネットの映画系記事に山ほど書いてあるので割愛しますが
原作は『Padmavat』パドマーヴァト、という作品です。
13世紀末~14世紀の史実を元にして、16世紀頃にイスラム教神秘主義者(スーフィー)の詩人
マリク・ムハンマド・ジャーヤシーが書いた物語です。

スリランカの姫、絶世の美女を嫁にした北西インドのラージプート族の王様と
王妃に横恋慕して戦争をしかけるイスラム系王朝の王様との戦いの物語。
映画では、美しい映像でその物語を描いています。



公式サイトはこちら!




★映画の登場人物

(1)パドマーワティ
パドマーワティは、スリランカのシンガール王国の姫です。のちメーワール王国の王妃になります。
ちなみに綴りはPadmavatiですが、ヒンディー語ではvとwを区別しないのと
映画の名前とかでは長音は表記しないことも多いので
パドマーワティとなったのかもです。(発音はパドマーワティー)
ここでは映画にあわせて「パドマーワティ」表記で書きます。

パドマ(padma)とは「蓮の花」の意味。
インドで蓮の花は絶世の美女であるラクシュミー女神の象徴とされます。
つまり、「パドマーワティ」は、
蓮の花のように美しいラクシュミー女神のような女性。という名前です。

padmavati
蓮の花持ってる女性で、こういう服でこういうポーズの図像をみかけたら
だいたいパドマーワティです。
あと、オウムとなかよしなのでオウム持ってる場合もあります。


(2)ラタン・シン王
そして、そんな彼女を娶ったのは、ラージプート族の国、メーワール王国のラタン・シン王。
正義と誇りに生きる王様です。

ラージプート族っていうのは、北西インドの砂漠地帯ラージャスターン地方の人たちです。
クシャトリヤ(戦士階級)な勇猛果敢な戦士として有名で、
男性も女性も戦士として戦って散ることが名誉という……
なんというか日本の武士道とも通じるような、誇り高き人たちです。


(3)アラーウッディーン・ハルジー王
そしてそして。
パドマーワティの美しさの評判を聞いていろんなことをたくらむのは
北インドのデリーを中心に栄えたデーリー・スルタン王朝の一つ。
ハルジー朝のアラーウッディーン王。
欲しいものはどんなことをしても奪う!だって欲しいから!!!
という、欲望に忠実な存在として描かれています。


ヒンドゥー教徒のメーワール王国は太陽の旗。

敵はムスリム(イスラム教徒)のシンボルである月の旗。

というのも象徴的です。
対立する二人の男。夫を愛し続ける妻。

愛の物語です。愛。それぞれの悲しい愛の物語。


★個人的な感想

基本的にはこの3人が主人公の物語。
それぞれが追い求める愛の形が美しく。
インド史上最高の予算をつぎ込んだともされる最高にゴージャスな映像とともに
大画面みながらブワーーーってなって
心の中で「キャアアアア」と叫びながら
ただただ美しさに手を合わせることしかできないという…
そういう映画でした。

この美しさは大画面じゃないとわかんないんで
ぜひ劇場でじっくりたっぷり美を浴びてくださいお願いします。



ああ、あと、脇役としてアラーウッディーン王側の宰相となるマリク・カーフールという男が登場します。
(史実ではこのマリクさんはハルジー王朝の実権をにぎる重要人物になります。)
映画の中では、妖しい魅力の彼がすげえアレなので、まあみてください。最高。

あと、メーワール王国側の将軍たちもすごくイケメンなのです…
ていうか全てがすごすぎて「ハァァ」しかいえないんですよ。

この気持ちを一緒に味わいたいのでほんと見てください。

こちらはインド大使館で行われたパドマーワト試写会の会場の写真です。

 インド大使館での試写会
ほんと圧倒的な美しさでした!

インドのこと、興味なくてもいいです。
日本の武士道とかそういうのが好きな人や
キラキラ宝石とかアクセサリーとか美術が好きな人とかは
絶対にみておいたほうがいい。


あと、オタクは好きだと思う…いろんな意味で。

そういう映画です。よろしくどうぞ!!!!!


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以下、ネタバレですので、読みたくない人は絶対読まないでね!!!!

でも古典だしインド人みんな知ってる物語らしいからネタバレ気にしないよ。
原作知ってから観たいって人は読んどくと背景がわかるかもです。

あと、映画観たあとに「アレは何なの?」と思った人向けでもあります
とりあえず箇条書きの部分は、知っておくとより理解が深まる点。

ほんと、うっかり読んで怒らないでね!!!!!!
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『パドマーワティ』の原作『Padmavat』について。
padmavati

★以下、映画に登場したアイテムです。こういう意味があります(たぶん)
ちがってたらごめんね。

・スリランカは仏教。パドマーワティは異国の異教の地に嫁入りした。すげえ…
・二人がすごした例の場所にはストゥーパ(仏塔)があったね…あそこは僧院なんだよ…
・姫様、マニ車…回してたよね…??
・スリランカは真珠の産地。古代からインドでは真珠は超貴重だったよ。
・パドマーワティはラクシュミー女神のこと。
・パドマ=蓮の花=ラクシュミー女神の象徴
・つまりアラーウッディーンは蓮の花をパドマーワティとみたてているので某シーンでは笑った
・メーワール王国は歴史的にも古くからシヴァ神を崇拝していた。シヴァ寺院も建ててる。
・シヴァ神は破壊神や戦神の相もあるが、恵みを与える。
・ラージプート族はシヴァの聖灰を塗って現世と決別してから戦いに挑む勇猛果敢な戦士たち
・額の三本線はシヴァ派。三叉戟もシヴァの武器
・王様が怒ったのは、師匠だと思っていた人が詐欺師だったから。
・修行者は絶対に禁欲しなければならないんだよ…禁欲できない奴はエセつまり詐欺師なんだよ…
・月はムスリム。太陽はヒンドゥー(メーワール王国)
・クシャトリヤの系譜は月種族(チャンドラヴァンシャ)と太陽(日)種族(スーリヤヴァンシャ)がある
・太陽種族はラーマ王子の系譜といわれている。メーワール王国はスーリヤヴァンシャを名乗る
・ラーマ王子は、魔王ラーヴァナに横恋慕され、さらわれた妻シーターを助ける(ラーマーヤナ)
・サーヴィトリー姫は、死神にさらわれそうになった夫を知恵で取り戻す(マハーバーラタのサーヴィトリー物語)
・ディワーリー祭りは10月くらい。色粉の祭りホーリーは3月くらい。
・尊厳殉死と翻訳されているジョウハルは、ラージプート族の女性が行った集団自殺
・ジョウハルでは過去に多くの女性たちが尊厳を選び亡くなったという事実がある
・ジョウハルでは死ぬ前に手形を残すことがあった
・アラーウッディーンは第二のアレキサンダーと呼ばれていた
・例の赤い石?はもしかしたらカーネリアンかな?ムスリムにとって重要な石でしたっけ…
・インドはダイヤモンドの原産地。つまり、ダイヤの光とは何を意味するか。
・ヒンドゥー教では結婚式では女性は赤い服を着る。つまり…神と結婚するときも同じ色を…
・インド人は結末みんな知ってるから、ポスターが最期の場面だと分かるのよ…つらい…


他にもあるかもだけど。とりあえずこんなかんじ。
時間ないのでこのぐらいにするね。詳しいこと知りたければ
ツイッターででもお気軽に聞いてくださいどうぞです。


★どんな物語か。

本作はインド人なら誰でも知ってるような超有名な物語です。
絶世の美女をめぐっておこった悲しい戦争の物語。

つまり。「悲劇」です。

ハッピーでスッキリする話じゃありません。
観終わって怒りを感じる人もいるかもです。
映像は綺麗だけど、内容はなあ…。死んだら意味ないじゃん。と。

好き嫌いがはっきりわかれる映画だとおもうです。はい。

原作の元ネタとなった史実では。
ハルジー朝はメーワール王国を滅ぼします。
難攻不落の城塞であったチットーガル城は、圧倒的な軍事力のハルジー朝にかなわずおとされるのです。

わたしも実は、ハッピーエンドじゃないと辛いほうなんですよ。
映画とか悲劇だとわかってたら観にいかないタイプ。
ロマンス小説書いてるくらいなので。
でも、本作は。観ました。
辛いです。美しすぎて辛い…ううううううう。
で、でも、いい映画です。辛いけど。辛いけど好きです。スキィィィ!


★衝撃のラストの背景。

終盤のクライマックスで王妃が取る行動には
サティーというヒンドゥー教徒の風習が関係しているです。

サティーという風習はですね…。現代だと「はあ??」と驚く風習でして。
ヒンドゥー教には、妻は夫とともにいつまでも添い遂げるべし、というそういう思想があってですね。
紀元前にまとめられたマヌ法典とかにかいてあるんですけど。妻の役割とか。
それがですね、どんどんつきつめていくと「夫を亡くしたら妻も一緒に死のうよ」ってことなったぽくてですね。
夫が死んだあとに妻が焼身自殺することが推奨されたのです。

ちなみに炎というのはヒンドゥー教では最高に聖なるものなので、
焼死すれば火の神アグニに清められ天に昇ることができるのだとか。
シヴァの妃のサティーが炎に飛び込み死んだことが「サティー」の由来だという説もあるです。
あとはラーマーヤナのヒロイン、シーター姫が炎の中に入って身の潔白を証明してることもあり、
サティーで殉死した女性は、死後は女神として奉られ、崇められるのです。

もちろん現在では禁止されています。
夫を亡くした女性が全員が死んだわけじゃないですが
インドにやってきたムスリムの人たちも、英国人たちも、すげえ風習だとびっくりしたそうです。
サティーは、インド支配したムスリムも禁止したし英国も禁止したけども
なかなかなくならなかったと。

とはいえ、今でも妻より夫が先に死ぬと、妻が悪運を招いたとしてめっちゃ嫌われることもあるんですわ。
未亡人は化粧もオシャレも人付き合いも禁じられているところもあるそうで。


で。


映画の中で「尊厳殉死」と訳されていた「ジョウハル」ですが。
こちらは女性たちの集団自殺のことで、戦いに負けたラージプート族の女性たちが行ったことで有名なのだそうです。
サティーの思想ありきの行動ではありますが、敵の慰み者になるくらいなら皆で死のうということでしょうか…
もう絶対負けるとわかっている戦を前に、女性たちが炎に身を投じる。
その後戦士たちは出陣して散ったという話などもあるそうです。
当時の女性たちにとって、誇りを守るために最後に残された手段。
ううう、つらすぎる…


まあ、そんな背景もあってですね。いろいろ悲しいお話です。

ただ、本作ではこのジョウハルという行為を崇めるものとして描いていないです。
当時の女性たちの命をかけた抵抗と反抗の形。
自らの尊厳を守るための決意として描かれています。
あまりにも辛い結末ではあるけれども。


ということがあったりするので。

インド人の、ヒンドゥー教徒にとってパドマーワティは、
敵に身をゆだねるよりも夫と共に死ぬことを選んだ
清く美しい魂を持った女性、妻の鑑として理想の女性とされておるのです。
最期まで戦った気高きラージプート族の女性の鑑でもあると。
クシャトリヤ(カーストの戦士階級)の役割(ダルマ)を果たした女性だと。

また、ムスリム支配に抵抗したヒンドゥー教徒の鑑とみなす人たちもいるかもです。
作品書いたのはムスリムのスーフィーですが。

というわけで、パドマーワティは文学作品の中に登場する王妃というだけではなく、
至高の存在というか、とても尊い、ものすごく尊い存在です。

彼女の名前はパドマーワティ。つまりラクシュミー女神の名前をもった女性でもあるので
本来は神の化身なので、神の世界に戻ったという意味もあるのかもです。
ラーマ王子の妃、シーターのように。

パドマーワティーはヒンドゥー教の女神として信仰されているわけではありませんが
ヒンドゥー教徒の人々の心の支えというか、究極に美化された存在であるので、
まさに女神であると考える人はいるかもしれません。


なので。
映画を観る前は。

なにかと女性の人権が話題になるこのご時勢にパドマーヴァト??
アレを上映するってマジで大丈夫か?
あのポスターとか絶対「ジョウハルの直前のシーン」じゃん。そのまんまじゃん。
ヤバくね???


と、ポスター見ただけでヒッとなった私はめちゃくちゃドキドキしていたのでした。



でも、観終わったあとは。

ただただ、「すげえ」としか思えなかったですよね…。

これが映像のなせる業…




ちなみに、原作の「Padmavat」ではパドマーワティが登場しますが
ファンタジー要素もある物語なので、パドマーワティが本当に存在していたのかは分からないらしいです。

ただ、史実ではメーワール王国とハルジー朝が戦い。メーワール王国が負けた。と。
ハルジー朝はヒンドゥー教徒を圧倒的な軍事力で次々と支配していった。と。

実際、夫をなくした王家の女性たちが集団で殉死をした例は多々あったので
戦で負け、夫を無くした女性たちは、火の中に飛び込んだかもしれません。


とまあ、語りたいことは山ほどあるんですけど
ここでは本題ではないのでこのくらいにしておきます。




あとはですね。


★以下、イタめの感想。よまなくてもいいです。

アラーウッディーンが最高にキレててブレなくて最高。

アラーウッディーンと!ラタン・シンの!友情ぽいアレが!
月と太陽!月と太陽!黒と白!悪と正義!とか
あまりに明確な対立と、でもでも、出会い方が違っていれば二人は友人になれたのでは?
薄い本出せるのでは??的なそういうかんじとか。

アラーウッディーンと!マリクの!絡みが!とか。
マリクさーーーーーんん!!!!!!
二人の同性愛的なシーンもあったりしつつの、
愛を与えたいけど与えることが出来ないマリクの悲しみというかウワーーーー
マリクさんーーーー!!!!!

アラーウッディーンと!正妻の!愛とか!!!

つまりアラーウッディーンの!欲望を追い求める姿がもう。やばい。
際限ない欲望はいずれ身を滅ぼすのですよ。
欲しい、ほしい、もっとほしい。でも手に入れたら興味がなくなるのでもっと欲しい。
世界の全ては俺のもの。でもパドマーワティは手に入らない。
ウワーーーーーー!!!!


そしてラタン・シン王の清く正しく美しい正義な姿とか。
でもそれじゃ悪にまけちゃうのよウワーーーーー!!!!


と、

すべてにおいて尊みがあふれてとまらないのです。

歌も踊りもすごくて。ああああ。

あっ、もう時間がなくなったので!今日はここまで!


というわけで。パドマーワト。
もう一度観にいきましょう!劇場でお会いしましょう!!!!